男性看護師の働き方と必要性

男性看護師は増えつつありますが、看護師は女性が9割を占めている職業です。多くの男性看護師が活躍している海外ドラマを見ると、日本にも沢山の男性看護師がいれば良いのになぁと思ってしまうほど、まだまだ少数です。

 

病棟で男性看護師を見かけると、医師と間違えられることもあるくらい、男性というだけで珍しいと思われがちです。そんな中で頑張っている男性看護師の働き方として、クリニックよりは病棟勤務のほうが適しているでしょう。

 

夜勤のある病棟勤務は女性看護師が敬遠しがちです。その部分を子育てなどの家庭の事情にあまり影響されない男性看護師が担うことで、たいへん重宝されます。夜間は患者が不安に陥ることが多く、突然暴れ出して手に負えない状態になったとき、力のある男性看護師が頼りになります。

 

また、患者からセクハラを受ける看護師が多く存在していることから、男性看護師に担当を代わって対応することができます。力仕事を男性看護師に押し付けるイメージがありますが、決してそうではありません。

 

男性看護師は小児病棟の子供たちに人気があるというデータが出ています。子供たちの中で、一緒に遊んでくれるお兄さんといった印象が強くあるのです。感じ方にもよりますが、女性ばかりの職場は雰囲気が悪いといわれています。女性中心の看護師も例外ではなく、転職理由の上位に人間関係が挙げられています。男性が入ることによって、女性特有の感情的で殺伐としてムードが緩和されることも期待されます。
また、最近の傾向では派遣で働きたい男性看護師も増えてきているようです。

性別の違いはあっても、男性も女性も看護師であることに違いはなく、待遇面で区別されることもありません。現在、助産師は男性看護師には取得できない資格になっていますが、産婦人科に勤務してはいけないという決まりはありません。生命の誕生を見守りたいという誠実な動機があれば、男性看護師が勤務を希望してもおかしくはありません。乳腺科に勤務して乳がんに悩む患者のケアをしたいと希望してもよいのです。

 

しかし、患者側から、「女性の身体に触れるのは女性看護師にお願いしたい」という要望がある以上、男性看護師の配属先は救命センターやオペ室、透析室、精神科が多くなっています。問題は、ここにばかり男性看護師が集中するのはバランスが悪いということです。せっかく看護師の資格をとって勤務をしたのに、男性だからという理由で幅が広がらなくなってしまいます。

 

病棟の夜勤は体力のある男性看護師を求める声があり、様々な科で活躍できる環境作りが急がれます。男性に出来て女性に出来ないことをマイナスに捉えるのではなく、男女の特性を生かして看護業務にあたる工夫が必要なのです。

 

例えば、薬を飲まずに看護師を困らせる子供の患者が、男性看護師が対応した途端に飲むことがよくあるそうです。患者の年齢が小学生くらいの女の子の場合、若い男性看護師の言うことなら聞くということなのかもしれません。一般企業では厄介な仕事を男性に押し付けると思われてしまいますが、患者中心で看護を行なう医療現場では、男性だからこそ出来る任務だと誇りを持ちましょう。

圧倒的に女性が多い職場で、男性看護師が働くことは何かと神経を使うことでしょう。

 

男性看護師に必要な資質とは、看護技術だけではなく職場の環境にどれだけ馴染めるかがポイントになります。男女問わずいえることですが、男性の場合は特に心しておいたほうが良いでしょう。一般に、女性は男性よりも勘が鋭いといわれています。女の直感が働き、患者が何気に発した言葉の裏を読み取る力に長けているので、遠慮してはっきり要望を伝えられない患者にとっては救世主になるのです。

 

一方、男性の場合は、全く悪気はないのですが、女性ほど勘が働かない特性があり、患者から「気が利かない」「やっぱり女性の仕事だ」と思い込まれてしまう傾向にあります。これは、男女の脳構造の違いで起きるすれ違いで、プライベートでは問題ありませんが、看護の現場では許されない場合もあります。場合によっては患者の生命に関わることになるからです。

 

男性看護師は、日頃の女性看護師との対話の中からその先の言葉を予想する力を身につける必要があります。休憩時間の雑談も無駄ではありません、男性一人で肩身が狭い雰囲気だとしても、積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。

 

資質とは、こういった適応能力や雰囲気に流されない気力でしょうか。体力的には男性のほうが勝っていることは誰もが承知です。体の力ばかりを資質だとアピールしても限界があります。男性といえども、年齢を重ねれば体力的に厳しくなっていくのです。男性が看護師として長く働くためには、自分自身のメンタルを管理することに尽きます。

女性が9割を超える職場で、男性看護師は上手くやっていけるのでしょうか。本人はもちろん、周囲のスタッフからも「この人大丈夫かな」という先入観を持たれてしまうのが男性看護師の悩みどころです。

 

はじめのうちは気にならなくても、次第にストレスは蓄積されていきます。ストレスが原因で辞めてしまうことは勿体ないことです。それが仕事とは関係のない人間関係のことなら尚更です。

 

たいていの医療現場では、男性看護師の上司は女性になります。生命を預かる使命感から、時には強い口調で叱咤されることがあります。男性同士なら、さほど気にならないことでも女性から言われることによって、男性のプライドは傷つきます。ミスの原因が自分であった場合は更に自信を失くしてしまい精神的ダメージも大きいでしょう。

 

また、男性の習性として特徴的なのが、潜在的な上昇志向があることです。看護師としてスキルアップを目指す意気込みは必要ですが、その意気込みが時として職場や患者に不快感を与えてしまうほど伝わってしまうことがあります。些細なことで信頼を失うきっかけになり兼ねないので、自分で自分の首を絞めることなど無いように注意しなければなりません。

 

男性が少ないという理由で、女性看護師のように綺麗な更衣室や仮眠室を与えてもらえないケースもあれば、同年代か年下の男性医師から命令されてストレスを溜めることもあります。その度に退職を考えていてはきりがありません。
年々、男性看護師は増えているので、初めて勤務するときは、先輩に男性看護師がいる職場に就職することが望ましいでしょう。

保健婦助産婦看護婦法とは、これらの免許を有す者にしか行なえない業務を定めた法律です。看護師という職業は海外から入ってきたもので、日本には明治時代に導入されました。養成所で学んだあとの、女性の仕事としてみられていたため「看護婦」と呼ばれていましたが、現在のような免許制ではありませんでした。

 

医師の指示に従って包帯を巻く、消毒をするなど、患者の身の回りを世話することが仕事でしたが、正しい医学知識を持つ人は少なく、医療事故が起きて当然の時代でした。戦後の昭和23年に、保健婦助産婦看護婦法が制定されてはじめて「看護師」という職業が医療従事者として確立されました。

 

もちろん、その頃から男性看護師もいましたが「看護士」と呼ばれており、まだまだ看護婦のイメージが強く、女性の職業として定着し続けました。数少ない男性看護師のほとんどが、力仕事を伴う精神科かオペ室に勤務しており、一般の人はあまり目にすることはありませんでした。しかし、男女雇用均等法や、平成14年に保健婦助産婦看護婦法が改定されたことがきっかけで、男女問わず「看護師」と呼ばれるようになりました。それ以降、男性看護師が病棟勤務する姿を見かけるようになり、今後ますますニーズが高まっていくでしょう。

 

女性が女性特有の病気で、女性同士にしか話したくないことがあるように、男性同士で病気の悩みを相談したいと希望する患者もいるのです。「婦長」という肩書きも長い間定着してきましたが、最近は男性の看護師長も誕生しています。